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「自分が本当に上手くなったなあ、実力がついたなあ、と感じるのは、ボロボロになってしまったスタートのハーフを耐えきった時だ」...ある老ゴルファー。

偉大なプロや名手、有名人の言葉ばかりではなく、こんな無名のベテラン老ゴルファーの言葉も書いておきたいと思う。
同じような意味の格言には
「偉大なゴルファーには、酷いスタートをリカバーする能力がある」
なんて言葉も聞いたことがあるが、「偉大じゃない」我々凡ゴルファーには無縁の言葉として、無視。
...だって、我々がワーストスコアを更新するような時って、スタートの大叩きを取り返そうとしてどんどん無理攻めを繰り返し、結局あきれるほどの大叩きをして「もうゴルフなんてやめた!」になるんだから。

で、老ゴルファーの言葉。
我々は、とかく大事な試合のスタート3ホールくらいは、緊張と興奮と睡眠不足と自意識過剰と誇大妄想の混乱の中、自分が何をやっているのかわからない「此処はどこ? 私は誰?」状態でプレーしている場合が多い。
で、気がついたら(大体「我に帰る」のは4番ホールだ)、3ホールでハンデ使い切っていたり...

ここからだ。
無理攻めを繰り返すのは、結局試合を諦めて半ば試合を投げている場合が多い。
「ギャンブルショットで間違ってバーディーやイーグルが来たら、それから真面目にやればいい」...なんて、頭の中は思考停止に陥って、10に一つ100に一つの可能性しかない無謀な攻めを繰り返す。
こうなると、酷いミスの連続も堕ちて行く快感に似て、殆どマゾヒストの世界に嵌り込む。
自分では「ここからだ、ここからだ」なんて思おうとしても、口に出して「まだまだだ」なんて言ってみても、本心では「もう、だめだ」と思っている。

本当に真剣に努力しているゴルファーは、此処から粘る。
「過ぎてしまったことはしょうがない、ここから出来る限りのゴルフをする」と本心から考える。
ミスを避け、渾身のショットを打ち続け、細心のアプローチ、心を込めたパットを打ち続ける。
たとえ、スタートの3ホールで崖っぷちに来ていることがわかっても、必死の必死さでプレーを続ける。
カッコ悪くとも、みっともなくとも、絶対に崖から落ちるもんかとしがみつき、すがりつき、齧りつく...

そうして残りホールを耐えきれた時、それが本物の実力になる。
そのことで「ああ、俺は上手くなったんだ」と実感出来る。
...調子と運のいい時には、誰でも思ってもない不釣り合いな好スコアは出る。
しかし、そんなものは実力ではない...単にゴルフの神様の気まぐれに振り回されただけのこと。
本物の実力というのは、この老ゴルファーの言葉を実感出来るようなプレーが出来たときだ。

...自分でも、遥か以前「過去最高のプレーが出来た」と感じた時は、グロスでベストスコアを出したときではなく、調子が悪くてスタートホールでトリを打った後に、その最悪のショットのまま必死で耐えて残りの8ホールをパーで回れた時...「俺は本当にいいゴルフが出来た」と思った。
トータルでは大したことはないスコアだったけれど、一段上のゴルフが出来たと感じた。



...今じゃあ、崖からすぐに滑り落ちちゃうんだけどね。