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「あと10センチ、俺の足が長かったら...」...佐藤精一。

佐藤精一プロは我孫子出身の77歳、1966年に日本オープンで初優勝し、67年に関東プロ、82年に日本プロシニアを勝つなど一時代を作ったプロである。

その佐藤プロがテレビや雑誌などで、良くこの言葉を言うのを聞いたことがある。
その対象は、彼のあとの時代に派手に登場して来た、青木、尾崎、中島達...身長180センチ前後の若いプロ達に向かって、身長160センチ(公称)の自分を比較しての言葉だった。
実際、彼ら3人とプレーすると、佐藤プロはセカンドで6−8番手大きなクラブで打たなくてはいけない...例えば、彼らが9番とかピッチングでも、自分はバフィーやクリークで、なんて。

それで「自分があと10センチ足が長かったら、飛距離だって彼らと対抗できるのに」ということなんだろう。
でも、これは佐藤プロの否定的な本音の言葉だとは思わない。
「でも10センチ足が短いんだから、飛距離で無理して対抗しようなんてしても無駄なこと」
「その代わりに、彼らよりずっと小技が上手くなって、勝負してやる」
って意味なんだと思う。
実際、佐藤プロの小技はほとんど曲打ちに近い程、多彩でキレがあるのは有名で...いわば「職人芸」の世界。
...あの言葉は、小兵でありながら日本オープンをはじめとするビッグタイトルを取った男の、プライドが言わせる「皮肉」の言葉でもあったろう。

同じようなことを宮本留吉が言っている。
「飛距離は持って生まれたもの、無駄な抵抗はやめろ」と。
...それより自分の得意技を磨き上げろ...だろう。

ただし、こんな言葉もパーシモンの時代のもの。
今の時代はこの頃よりもずっと道具が進化して、その飛距離の差はずっと小さくなっている。
(タイガー全盛期以降のクラブの進歩は、かってタイガーに50y以上置いて行かれたプロ達が揃って300y近くを打てるようになり、その飛距離の伸びはタイガーの飛距離の伸びの数倍ともなり、その差はずっと少なくなった。)
今では我々のレベルでも、飛ぶ人と飛ばない人で50ヤードも違わないだろう。
なら、アイアンの練習や、アプローチの練習、パットの練習で十分対抗できる。

足の短さを嘆いても、足は長くはならない。
無理に飛ばそうと力んで打てば、飛ぶより曲がるしミスも出る...結局ゴルフそのものが崩れてしまう。
飛距離の差なんて、足の長さで認めておこう。

「飛ばしは足の長い奴に任せておいて、グリーン周りでは絶対に負けない」...なんて考えた方がゴルフがずっと楽しくなる。
そしてスコアで勝っておいて、「俺の足があと10センチ長かったら...」なんて言うのは、なんだかお茶目でカッコいい。