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「優れた設計のパー3ホールは、正しく打たれた完全なショットには容易にパーを与えるかわりに、ミス・ヒットや無計画なショットには容赦なく5以上のストロークを与え、はじめから計画的に4で上がろうとする者には確実に4を与える」...トム・シンプソン。

トム・シンプソンはイギリスのコース設計家。
ショートホールの設計のイメージを語っているのだが、これはイコール我々のショートホールの攻略のイメージとも重なる。
ショートホールというのは、調子が悪いときには一番パーをとれる可能性の高いホールだし、調子が良いときには思わぬ落とし穴が待ちかまえているホール、というのはゴルファーならみんな実感している事だろう。
殆どの場合はアイアンで届く距離であり、乗せさえすればパーは簡単にとれる...調子が良いときにはこんな風に思ってティーショットするだろう。
そして、そんなに調子がよいときには、ピンデッドに狙ってバーディーを、なんて考える。
しかし、ちゃんとした設計のショートホールの場合、ピンに近い方にグリーンを外すと、必ず難しいアプローチが残るように出来ている。
それを、なおも無理してピンを狙っていくと、簡単にダボやトリになる。
これはグリーンの周りで落とすスコアだけに、精神的なダメージが大きい。

対して、難しいところに外すと寄せる自信がないからと危険の一番少ない方向を狙うと、乗っても長いパットが残ってバーディーは難しいが、上手くいけばパー、3パットしてもボギーであがれる。
もちろん外しても、グリーンに乗せるだけなら難しくないから、十分ボギーでいける。

わかっているんだよな。
ボギーで良い、と思えばショートホールは易しいものだ、なんて。
でもね、アイアンで届くところにピンが見えて、平らなライにティーアップして打てる...そんな状況ではじめから安全なところにボギーを狙って打つ、なんてハンデ18の人だってなかなか出来ない。
ティーグランドからの打つ前のイメージなんて、「寄せてパー」なんかじゃなくて「ピンそばでバーディー」に決まっているよなあ?
ゴルファーはそれが我慢できるようになって、初めて上級者への道を歩み始めることが出来る(笑)。
...そう、ストレスと自虐に満ちた、シングルへの道をね。
ゴルフの本質ってのは(「スコアを少なくする」と言う部分だけでは)、欲望を耐えて凌いで本能に逆らって我慢するマゾヒスティックなゲームだって事...そのしんどい世界に飛び込む勇気があるものだけが、上級者と呼ばれるようになる資格がある。

難しい事を考えたくない明るく善良で正直で優しい人間が、ゴルフで上級者になるのはもの凄く難しい。
「嫌なヤツ程ゴルフが上手い」と言う嫉妬半分の言葉が昔から伝わっているのも、そういう事からなのだ。
だから、いつも明るく楽しくいい人でゴルフを楽しみたいなら、ずっと出たとこ勝負本能一直線の「たら・れば」ゴルフを楽しむのもアリって事だ。


設計家の言葉、ショートホールのティーグランドで、一度思い出してみるといい。